来年、平成31年から、所得税の確定申告をする際の電子申告において、ID・パスワード方式というものが導入されます。
ID・パスワード方式についてや、ID・パスワードの申請方法について説明したいと思います。
ID・パスワード方式導入の意図
平成30年までは、所得税の確定申告をする場合に電子申告をするには、
マイナンバーカードとカードの読み取り機が必須でした。
しかしながら、マイナンバーカード及びカード読み取り機の普及率がいまいち伸びないことに対応するため、
平成31年から、「ID及びパスワードによるe-Tax利用」(通称:ID・パスワード方式)が導入されることになりました。
なお、このID・パスワード方式は、マイナンバーカードとカード読み取り機が普及するまでの一時的な処置とのことです。
今後は、導入後3年をめどに見直しをするということですので、どこかのタイミングで制度自体がなくなってしまうかもしれません。
個人的には、マイナンバーカードはさておき、カード読み取り機を確定申告のためだけに買うというのは実に無駄だと思うので、この制度をずっと続けてくれればいいのに、と思っています。
ID・パスワード方式 制度の概要
制度自体は簡単明瞭。
所得税の確定申告を電子申告でするときに、事前に税務署から発行されたIDとパスワードを使うというものです。
これまでのように、マイナンバーカードは必要ありません。
当然、カード読み取り機も必要ありません。
なお、すでに、マイナンバーカードもカード読み取り機もお持ちの方は、これまで通り、マイナンバーカードによる電子申告は継続して行うことができます。
IDとパスワードの発行方法
確定申告をする本人が税務署に行き、”厳格な本人確認”を行いIDとパスワードを発行することになります。
どこの税務署に行けばいいの?
税務署は、どこの税務署に行っても構いません。
所轄の税務署以外でも構いません。
ですから、たまたま出かけた先の近くに税務署がある場合、ついでに寄って行くといいと思います。
もちろん、所轄の税務署でも構いません。
一番行きやすいところに行けばいいと思います。
”厳格な本人確認”とは何だ?
2018年11月5日に国税庁に問い合わせしてみたところ、細かい部分について明確な回答をいただけなかったため、現時点では、細かいところは明確には定まっていないという印象を受けました。
(すでに、制度始まっているのに・・・。)
大雑把なところでいうと、本人確認の方法は次の2通り。
1.写真による本人確認
顔写真付きの証明書で、本人確認をするとのことです。
証明書として有効なものは、マイナンバーカード、免許証、パスポート
2.写真がない場合の本人確認
1の証明書を持っていない方の場合は、次の証明書が必要になるとのことです。
健康保険証
+
次の中から、いずれか1点
年金手帳、住民票、住民基本台帳カード、マイナンバー通知証、パスポート(有効期限切れの場合)、社員証・学生証
つまり、2のパターンの場合ですと、健康保険証は必須で、それ以外に、上記の後半に記述した書類の中から1点、合計2点が必要ということになります。
社員証で、本当に”厳格な本人確認”ができるのか?と疑問に思ってしまいますが、電話で問い合わせた感じでは、実際の本人確認は現場判断に委ねるところが多いという印象を受けました。
したがって、IDとパスワードを発行してもらおうと思う方は、事前に行こうと思っている税務署に必要書類について問い合わせた上で行かれることをお勧めします。
いつ行けばいいの?
2018年11月5日現在、すでにIDとパスワードの発行は開始しているとのご回答をいただきました。
ですから、これを読まれてから確定申告をするまでの間なら、いつ行ってもいいと思います。
ただ、税務署は、土日祝日や年末年始はお休みなので、ご注意下さい。
また、平日の受付時間は、基本的に、8時30分から17時までとなっております。
時間にもご注意下さい。
IDとパスワードの発行方法
税務署に行ったときに、その場ですぐに発行して下さるとのことです。
後日郵送されるとかではないので、確定申告期限のギリギリに行っても大丈夫です。
とは言え、ギリギリに行くと、窓口は激混み必至なので、可能な限り、事前に行かれることをお勧めいたします。
ID・パスワード方式の開始時期
システム対応が、2019年1月4日の予定となっております。
したがって、前述したとおり2019年1月4日より前でも、IDとパスワードの取得は可能なのですが、実際に使えるようになるのは、2019年1月4日以降ということになります。
また、対応する年度は、平成30年分(2018年分)以降とのことですので、過去分の確定申告について、期限後申告や還付請求を行う場合には、対応していないのではないかと思われます。
おわりに
ID・パスワード方式は、制度自体があまり周知されていません。
インターネット上でも大した情報が見つからなかったため、国税庁に直接問い合わせて、ここに載せた情報について教えてもらいました。
しかしながら、国税庁側も、制度自体が始まったばかりであるためか、明確な回答を持っていないと見受けられるところも多くありました。
したがって、ここに記載した内容は、今後変わる可能性もありますので、ID・パスワード方式を利用してみようとお考えの方は、その時点での最新情報を十分ご確認されるようにご注意下さい。