相続があった場合において、通常の贈与(暦年課税)を行っていた場合、過去3年さかのぼって、その贈与財産は相続財産に算入されます。

具体的に言うと、下の例のような感じになります。

 

○x1年6月30日 100万円贈与

○x2年6月30日 100万年贈与

○x3年6月30日 100万円贈与

○x4年6月30日 100万円贈与

◇x5年1月1日 被相続人が死亡(相続開始日)

この例の場合、x5年1月1日に相続がありましたので、3年さかのぼって、x2年1月1日以降に贈与した財産は、すべて相続財産に算入されます。

すなわち、この例で言うと、x2年6月30日の100万円、x3年6月30日の100万円、x4年6月30日の100万円の合計300万円を相続財産に加算することになります。

せっかく、贈与税のかからない範囲で贈与を行っていたのに、3年分は無駄になってしまいました。

いつ亡くなられるかというのは、なかなか予想できないものですので、相続税対策で贈与を行う場合は、早め早めに行うことが肝心ですね。

 

死亡した年と贈与を行った年が同じ場合の申告について

通常、贈与税の確定申告は、贈与の年の翌年2月1日から3月15日までに行います。

ただし、被相続人の死亡と贈与が同じ年になった場合は、贈与税の申告を行う必要はありません

贈与財産は相続財産に算入されるため、贈与税の申告は省略できるということですね。

 

【応用】相続があったときに、申告を忘れていた過去の贈与があった場合

例えば、このような場合、どうなるのでしょうか。

○x1年1月1日に500万円の贈与(確定申告は忘れてしまい、やっていない)

◇x3年1月1日に、被相続人が死亡

 

上述したとおり、過去3年分の贈与財産は、相続財産に算入する必要があります。

したがって、まずは、相続があった時点で、x1年1月1日の贈与について、贈与税の確定申告を行う必要があります。

相続開始があった時点で、すでに贈与税の確定申告の申告期限を過ぎてしまっているため、期限後申告となります。

この場合、通常の贈与税に加えて、延滞税が加算されてしまいます。

痛いですが、仕方がないですね。

こういうことがないように、毎年の確定申告は忘れないように注意して下さい。

 

贈与税の申告が完了したら、それを元にして、相続税の申告書を作成します。

贈与税で申告した分は、相続税で再度申告することになります。

二度手間に感じてしまいますが、ここは省略できないのですね。

相続と贈与が同じ年にあった場合と異なるので、注意して下さい。