11日、ふるさと納税制度の見直しに関する記事が日本経済新聞のWEBサイトに載っておりました。

概要は、

寄付金に対する自治体の返礼費用の割合が3割を超えたり、返礼品が地場産でなかったりする自治体への寄付を、税優遇の対象から外す方針

というものです。

 

なぜ見直しされるのか

今回、ふるさと納税制度の次のような点が問題視され、見直しに至ることとなりました。

 

・返礼費用の割合が3割を超える返礼品が多数ある

返礼費用の源泉は、言うまでもなく税金です。

つまり、返礼費用の割合が高いということは、税金(寄付金)を集めるために、税金をたくさん使っているということになるのですね。

寄付がない場合、100%税金として徴収できたものが、例えば返礼費用が40%の場合、実質60%分しか税金として徴収できていないことになります。

これはよくない、というのが総務省の立場なのですね。

 

・寄付先の自治体とは全く関係ない地域の返礼品が多数ある

たくさんの寄付を集めるために、人気のある商品を返礼品としている自治体があります。

しかし、これは、ふるさと納税の目的の一つである地方の活性化というものに反してしまいます。

 

総務省としては、返礼品は、寄付先の自治体の地元産業が活性化するものにして欲しいわけです。

しかし、実態は、寄付先とは全く関係のない地域や国外産の返礼品が横行しているので、その点を問題視したというわけですね。

 

どう変わるの?

今までは、ふるさと納税=寄付金控除が使える(一定の限度額あり)と考えて問題ありませんでした。

しかし、今回の見直しにより、上に挙げた問題点のある返礼品の場合、寄附金控除の対象から外されてしまうようです。

 

例えば、返礼費用の割合が4割のものに1万円を寄付した場合。

今までは、4,000円相当の返礼品と、8,000円の税額控除の恩恵を受けることができました。

 

それが、見直しにより、4,000円相当の返礼品は受け取ることができるが、税額控除は一切なし、というように変更されます。

 

今後のふるさと納税の注意点

今回の見直しは、今年のふるさと納税には影響がないようですが、来年以降、ふるさと納税制度を利用する場合は、注意が必要になります。

上に挙げたように、返礼品によっては、寄付金の税額控除の特例を受けられなくなります。

寄付をする際は、税額控除の対象となるのかどうか、しっかりと確認するようにしましょう!

 

 

おまけ 個人的に思う別の問題点

今回の見直しの論点とは全く違う視点になりますが、個人的に感じるふるさと納税制度の大きな問題として、納税者間の不公平感というものがあります。

納税者により、ふるさと納税制度で受けられる恩恵の差異が、ものすごく大きいのです。

 

例えば、寄附金控除の限度額が0円の場合

これは、ふるさと納税で得することは全くありません。

やればやるほど損してしまいます。

 

次に、寄附金控除の限度額が100万円の場合

最大で、99万8,000円の税額控除を受けられます。

さらに、返礼率が20%と想定した場合、20万円相当の返礼品を受け取ることができます。

 

前者の得した額が0円なのに対して、後者は約120万円!!

差がありすぎませんか?

 

しかも、限度額が大きいほど収入も多いということなので、後者の方が圧倒的に高給取りなのです。

 

というわけで、現状のふるさと納税は、お金持ちほど得をする制度と言えますが、そのうち、この辺りの不公平感も見直されるのではないかと思っています。