その3です。
その2では、青色申告と白色申告について説明しました。
今回は、青色と白色のどちらがいいのかについて説明したいと思います。
過去分は、こちら。
青か、白か。どちらがいいか。
ずばり、デビュー間もない声優さんには、白色申告をお勧めします。
青色申告の特典を蹴って白色申告にする意味は?
その理由について、説明していきます。
青色の特典を受けられない?
まず、青色申告の主な特典を再度確認してみましょう。
・青色申告特別控除(10万円または65万円)
・青色事業専従者給与の必要経費算入
・純損失の繰越
(それぞれの特典の詳細は、「声優のための確定申告講座 その2」をご覧下さい。)
青色申告では、上記のような特典が受けられます。
ひとつひとつ見ていきます。
・青色申告特別控除(10万円または65万円)
これは、デビュー間もない方の場合、そもそも十分な売上があるのか?
利益はあるのか?
通常の経費だけでも赤字になっているのではないか?
という点を考慮する必要があります。
つまり、利益が出ているからこそ、65万円の控除の意味があるという話で、利益が出ていない場合、控除されるものが全く無いので、特別控除がいくらあっても意味がないということになります。
・青色事業専従者給与の必要経費算入
ここも、上記の青色申告特別控除と同様の点を考慮する必要があります。
すなわち、利益が出ているからこそ、経費が増えることによって税金を圧縮できることになります。
それが、最初から利益が出ていない場合、経費がいくら増えようとも、税金の額は最初から0で変わらないのです。
・純損失の繰越
赤字を繰り越せる制度。これだけ聞くと、赤字が出るであろうデビュー間もない声優さんこそ、使いどころがありそうな感じがします。
しかし、同じ年にアルバイトなどで給与をもらっている場合、声優業の赤字部分は、給与と合算されることになります。
したがって、声優業の赤字とアルバイトなどの給与分を合算しても、なお声優業の赤字が残るという場合でないと損失の繰越はできないということになります。
さすがに、そんなに多額の赤字になるということは考えづらいので、やはり、これも意味がないということになってしまいます。
というように、青色申告の特典は、利益があるときは、大きな恩恵を受けることができるのですが、利益がないときは、さほど意味がないものとなります。
青色申告には面倒な帳簿の作成が必要
白色申告をお勧めするもう一つの理由として、青色申告には面倒な帳簿の作成が必要なことが上げられます。
青色申告の帳簿の作成は、手作業でやろうとすると、大変手間がかかります。
また、帳簿作成のために、それなりの知識も必要とされます。
したがって、青色申告をやろうとお考えの場合、私としては、専用の会計ソフトを導入するか、税理士にまるごと投げることをお勧めします。
そうすると、いずれにしても、余分に費用がかかることになります。
(会計ソフトだと、年1万円~)
(税理士丸投げだと、年10万円~)
以上のように、デビュー間もない声優の場合、青色申告の特典を十分受けることができないにもかかわらず、帳簿作成は手間やお金がかかるという理由から、青色申告をするよりは、白色申告で十分だと考えています。
まずは、白色申告で確定申告を始めて、利益が出るようになってから、青色申告に変更すればいいと思います。
次回、「声優のための確定申告講座 その4」では、青色申告をするための準備について説明したいと思います。
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